
本作は,人間になりたがっているロボットのために,人間を模したパーツをひたすら作り,改造していくというシミュレーションゲームだ。
パーツを作ると言っても,操作は非常にシンプルで,画面中央のタンクをタップしてエネルギーを「放出」するだけ。その後は,機械が自動的にパーツを作ってくれる。なお,エネルギーは時間の経過とともに溜まっていき,タンクが満タンになったときのみ放出可能だ。

改造画面の右上には,パーツの完成度を示すゲージがあり,放出を繰り返すことでゲージが溜まっていく。このゲージが100%になるとパーツが完成し,ロボットに組み込めるようになる。これを繰り返し,次々と新しいパーツを生産して,ロボットを人間に近づけていこう。
なお,新しいパーツほど完成までに時間がかかるが,タンクが空っぽの状態から満タンになるまでの時間は,最初から最後までほとんど変わらない。

本作では新しいパーツが完成すると,ロボットの現状が語られるストーリーと,「協力してもらった人間の数」が公開される。ストーリーは,ロボットの成長を見守っているようで,ほっこりする内容となっているが,協力してもらった人間の数というのは,少々不気味だ。これは,メイン画面の背景に描かれている世界人口数が,パーツの製造とともに減っていくことと何か関わりがありそうだが……。
『LIMBO』はモノクロで不思議な世界の中で、主人公の少年が過酷なトラップをくぐり抜けていくアクションゲーム。
2010年にXBOX LIVEの配信を皮切りにPCとPS3に移植され、これまで300万本以上を販売している人気作品…

このゲームの魅力の1つは、そのゲーム内容そのもの。
物を動かしたり、不思議な生物の習性を利用してピンチを切り抜けたりと、その場にあるものや状況からトラップを避ける方法を探っていくのが楽しいパズルアクション。
ほとんどのトラップは主人公を即死させる恐ろしいものばかりだが、死んでも直前からやり直せるので試行錯誤して通り抜けていくのもあまり苦にならない。

パズルの解法はできてみれば納得の物が多いし、最初のステージではゲームを解く基本が全てわかり、徐々に応用編に移る構成など、丁寧な作りで感心させられる。
ラストになるとかなり難しい箇所もあるが、トライ&エラーで謎を解くのが好きであればAppStoreの超安価な物理アクションパズルよりは確実にワンランク上のゲームを楽しめるだろう。

操作方法に関しても、マルチタッチに対応した操作を発明していてこの手のアクションの中でも良い方だ。
そして、『LIMBO』のもう1つの魅力がモノクロで表現される世界観。
地獄のような雰囲気の世界は独特の空気を放っており、残酷な演出の数々はショッキングながらもプレイヤーを捉えて離さない。
このあたりはネタバレになるので詳しく書かないが、驚くような演出が各所にある。

▲串刺しの少年、これは表現的にはゆるい方か。
効果音の使い方も秀逸。
音楽はほぼないのだが、水の音や草木の音、機械の動作音や足音は実にリアル。
プレイヤーの想像力を刺激するモノクロの抽象的な見た目に対し、リアルな雰囲気を醸し出すことに成功している。
プレイヤーに文字で与えられる情報はAppStoreの説明文1行だけ。
「運命に逆らい、妹を探して少年は LIMBO の世界に足を踏み入れる。」
ゲームを始めると少年が森の中で目覚め、操作説明もなくプレイヤーは操作方法から探していくことになる。
最近のスマホゲーの親切さに慣れきっていると、序盤で「わからん!」とやめてしまう可能性があるほどの突き放しっぷりだ。

▲スタート、起き上がって説明もなく冒険が始まる。
だが、それは余計なテキストがなく、ゲームの世界観を損ねる演出は一切ないという長所でもある。
プレイヤーはゲーム画面に集中することを余儀なくされ、自然に『LIMBO』の世界観に入り込んでしまい、その魅力を味わうわけだ。

と、シンプルながら納得感のあるパズルアクション、モノクロのグラフィックと残酷な表現による世界観の2つが自分の感じた『LIMBO』の魅力だ。
iPhone版は移植度は高く、家庭用と同じように解いていくことができる。
そしてタッチ操作もそこまで気になるほど悪くない。

最後に
このゲームですが不思議な世界に感じました。楽しかったです。時間があればやりたいと思います。